歯科健診とは

 獣医療の発展や生活環境の向上と共に、ワンちゃん、ネコちゃんの平均寿命も伸びてきました。

高齢化に伴い、歯石をはじめとする口腔内にトラブルを抱える子が多くなってきました。

歯石が増えてしまうと、口臭や口内炎、その他の全身的な疾患の原因となることがあります。

 当院では、定期的な口腔内の健診をお勧めしています。

歯科健診の内容

◎口腔内の視診・触診

 歯石がどの程度付着していて、それによって歯肉炎が引き起こされているかチェックします。

また、グラついた歯がないかも同時に確認します。

歯磨きチェック

 口の大きさや、嫌がり具合などから、無理のない歯みがきの方法を提案いたします。

◎口腔内細菌量の測定(PCR検査)

 口腔内細菌の中で特に口内炎と関係が強いとされる細菌4種がどれくらいいるか、PCR検査で測定します。

綿棒で唾液を採取するだけで検査が可能です。

 この検査により歯周病のリスクがどの程度か測定し、積極的な治療(歯石除去など)が必要かどうか判定します。

歯科健診表

↑歯科健診表(左:犬 右:猫)

 健診の次の診察時にお渡しいたします。

<測定する4菌種>

Porphyromonas gingivalis (ポルフィロモナス・ジンジバリス)

Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコーラ)

 →歯周病菌の中で、最も毒性が強いとされるレッドコンプレックスに分類される菌です。

Prevotella intermedia(プレボテラ・インターメディア)

 →レッドコンプレックスの次に毒性の強い、オレンジコンプレックスに分類される菌です。

Aggregatibater actinomycetemcomitans(アグリゲイティバクター・アクチノマイセテムコミタンス)

 →侵襲性歯周炎に原因菌とされています。

 これらの歯科健診を受けた上で、歯周病リスクが高いと判定された場合には、

歯石除去(スケーリング)などの積極的治療をお勧めいたします。

歯周病のリスクとは → 歯周病=細菌感染

歯周病菌

 歯周病とは、ザックリ言ってしまえば口腔内細菌による細菌感染症です。例えば、歯肉に細菌感染が起これば歯肉炎ですが、飲み込んで体内に入った細菌や、歯肉炎の傷から血管内に細菌が侵入した場合はどうなるのでしょうか。

 もし歯周病が進行した場合に起こりうる疾患を以下に挙げます。

 口腔内への影響

歯肉炎、歯肉の後退、歯がぐらつく・抜ける、口臭の悪化、食事の際に痛みが出る、根尖膿瘍から頬や鼻腔内に瘻管ができる、下顎骨の骨折など

 全身への影響

心内膜炎、腎機能の低下、肝臓への負担の増加、糖尿病リスクの増加、舐めた皮膚に感染が起きる、むせたり誤嚥したときに肺炎を引き起こす、腸内環境の悪化など

 口臭や歯石は見た目からもわかりやすいですが、実は各臓器にも悪影響が出てきます。

歯石除去(スケーリング)のメリットとリスク

メリット

 口臭や歯肉の後退も緩和され、将来的な歯の健康が保たれます。また、歯石とともに細菌の塊(プラーク)の除去ができます。

それによって、歯周炎や全身への影響が緩和され、体調の改善が期待できます。

リスク

 歯医者さんで歯石除去を受けた方は経験があると思いますが、超音波スケーラーによる歯石除去はやや痛みがあります。

大人であれば我慢できる程度のものですが、わんちゃん、ねこちゃんでじっと我慢するのはかなり難しく、動いてしまうと不要な事故の原因となります。よって、当院では基本的に全身麻酔での治療をおすすめしています。

 したがって、歯石除去のリスク=全身麻酔のリスクとなります。麻酔薬は避妊去勢手術と同じものを使用するので、以前の全身麻酔と麻酔前の検査で異常が出なければ、そこまで大きな危険はないと言えます。

 詳細は、歯石除去を検討する際に、体調も考慮して相談させていただけると幸いです。

レーザー治療とは

 歯肉と歯周ポケットにレーザーを当てることで、歯石除去単体よりも広い範囲で歯周菌を減らすことが出来ます。

また、レーザーの刺激により血行が改善し歯茎を引き締める効果があります。

 その他にも、ネコの慢性的な口内炎の改善に効果が期待できます。

歯科健診の費用

(税別)

歯科健診¥1,500
歯磨きチェック¥2,000
口腔内細菌量測定(PCR検査)¥14,000
歯石除去(スケーリング)¥16,000~24,000
レーザー治療¥3,000~5,000 
※全身麻酔の際は、術前検査(¥4,000)が別途かかります。